深夜に鳴りだす会社の固定電話。その正体は・・・?

テレビのAD4年やってみた

当時のADは、会社に寝泊まりが普通だった。

なぜ寝泊まりするかって?

単純に終電までに仕事が終わらないからだよ。

たしかに要領の良し悪しもあると思うし、

私はそんなに要領が良いほうではなかっだけど、

どんなに仕事ができるADでもかなりの確率で会社に泊まっていた。

作業内容は、スタジオ収録の前日とかだとカンペや小道具の準備。

ロケの前日はロケスケや台本や道具、機材の準備などなど。

そして、ロケの終わった後はデジタイズ(収録テープをデータ化する)や、

そのデジタイズした映像のキャプション(喋ってる内容の文字越こし)など。

あとは使えそうな映像の「抜き」を作ったりもする。

とりあえず午前2時くらいまでキャプション取るのを頑張っていたとしても、

さすがに疲れ眠気が襲ってくる。

「ちょっと仮眠するかぁ~」と思って

椅子を並べて転がったりなんかしていると、

まるで見計らったかのように、社内の固定電話が鳴り始める。

「こんな時間に!?」と思いながらも、

同じく泊まっていた同期たちと顔を見合わせながら電話を取る。

はい、〇〇会社のおたけです。

D「おう、俺だ。お前まだ会社にいたか。この時間まで居るってことは、
  もうどうせ帰れないよな?」

え?あ。はい。そうです・・ね・・。

もはや、嫌な予感しかしない。

D「今、会社近くの〇〇って店で飲んでるからすぐ来い」

え!?いや、明日までに終わらせないといけない仕事が・・(だから泊まってるんですが・・・)

D「飲んでから会社帰ってやりゃあいいだろ!あと社内に誰残ってるんだ?」

このとき、私は悟っていた。

ここで名前を出すと、その人たちも道連れになってしまうだろうということを。

私の雰囲気から、みんなもだいたいの内容を察していて、

みんな私のほうを見て首を横に振っている。

「頼むから、名前出さないで!」

そんな声が、ひしひしと伝わってくる表情をしているが、

私もそんなに優しくないのだ。

作業が残っているのはみんな一緒。

私だってそう。

なのに、私ひとりだけが犠牲になるなんて、不公平。

あ~、あとは、同期の〇〇と〇〇、〇〇、あと〇〇さんですね←先輩も巻き込む

みんなの「こいつ!やりやがったな!」という顔。

先輩の「え、まさか俺の名前も出した!?」という顔。

いやぁ、愉快、愉快。

D「よし全員連れてこい。5分以内に来いよ!
  あとマルボロ買ってきて。あとで払うから。」

ガチャン!!

切られる電話。

マルボロの何mmだよ

・・・ってことで、とりあえず、5分以内にいきますよみなさん

「てめぇ売りやがったな・・・!」

という視線を感じつつ

みんなを引き連れ居酒屋に向かうという深夜の出来事。

そう、だいたい深夜にかかってくる社内電話は、

飲んだくれてる先輩たちが後輩を呼ぶのによく使われていた。


今じゃ確実に訴えられるね。

でも、確かに無理矢理呼ばれて飲まされるけど、

だいたいは奢ってはくれるし

よくもわるくも体育会系だった。面倒見はいい。

今の時代じゃなかなかそういうのもできないし、

まず若い子がほんとうにお酒を飲まなくなった。

そう考えると、

少し寂しい気がするかね。

こんな生活に戻りたいとは思わないけど、

古き良き時代の上司たちだな、っていうのは感じたな。

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